明日香医院
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【講演抄録】 『自然な陣痛促進法:乳頭マッサージ』
大本純子(助産師)、大野明子
新生児による乳頭の吸てつ刺激は、脳下垂体後葉からのオキシトシン分泌を高め、分娩後の子宮収縮を促すことはよく知られる。他方、薬物としてのオキシトシンは、陣痛誘発および促進のための代表的薬剤である。そこで分娩時、乳頭刺激によりオキシトシン分泌を促すことができれば、これは自然な陣痛促進法になりうる。

当院ではこの発想から、自然な陣痛促進法として、乳頭マッサージを行ってきた。その方法は、分娩につきそう助産婦スタッフが、乳輪から乳頭にかけ、ゆっくりリズミカルにマッサージする。マッサージは、陣痛が有効に増強するまで行うが、数分のこともあれば、1時間程度におよぶこともある。マッサージ中止後、いったん進み始めた陣痛が弱まると、再度刺激を行う。

この結果、とくに経産婦において、乳頭マッサージは陣痛を促進する上で効果が高いことがわかった。これまで、分娩経過が緩徐な経産婦37例(全経産婦中31%)に試み、全例で子宮収縮は増強した。このうち7例(19%)が1時間以内に分娩にいたり「著効」、13例(35%)が4時間以内に分娩にいたり「有効」、人工破膜を併用したもの5例(14%)、お風呂に入るなどそのほかの自然な陣痛促進法を併用したもの10例(27%)であった。分娩にいたらず一時退院としたものは2例のみ(5%)であった。
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