明日香医院
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【講演抄録】 『会陰切開をしないお産と会陰裂傷』
本田真美(助産師)、大野明子
当院は自然なお産を理念とし、分娩体位は自由で、会陰切開は原則として行わない。そこで、会陰切開をしないときの会陰裂傷の頻度と程度、さらに会陰裂傷発生に寄与する因子を明らかにすべく、開院以来本年3月までの450例の分娩について後方視的に検討した。

分娩の内訳は初産婦259例、経産婦191例であった。やむをえず会陰切開を行ったのは、吸引により急速墜娩をはかった初産婦3例(初産婦のうち1.2%)であった。会陰裂傷なし、あるいは1度以下であるものは、初産婦198例(76.4%)、経産婦では173例(90.6%)と、経産婦で多かった。その他、会陰裂傷発生に寄与する因子は分娩体位で、側臥位で裂傷が少ない傾向が認められた。母体年齢、分娩第2期所要時間、児の出生体重、促進剤使用の有無などとは有意な因果関係を見いだせなかった。さらに、経産婦の場合、前回の分娩で会陰切開をされていない群は、その裂傷の有無によらず、今回分娩における裂傷発生が会陰切開を受けた群より少なかった。

以上より、会陰切開を行わなければ、会陰裂傷が発生しても会陰切開創よりは小さくてすむこと、また、次回分娩における裂傷を少なくできることがわかった。つまり、ルーチンの会陰切開、あるいは20%以上の選択的会陰切開は無用であることがあらためて示された。
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