明日香医院
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子どもを産んで、産科医になる
あのとき「お産なんてこんなもの、仕方がない」と思えていたら、今の私はいません。お産のときは誰かにそばにいてほしいこと、仰向けで空に向かって産みあげるのはおかしいこと、会陰とおっぱいの痛みさえなければお産後のつらさは1/10になること、人間の子は人間のおっぱいで育つべきこと、子どもにおっぱいを飲ませながらそんなことを考え続けました。そして、子どもが1歳半を過ぎた年明け、私が次に産みたい施設がないのなら、産科医になってそんな施設を作ろうと決心しました。

その春、実家から通える距離にある医大の2年に編入しました。医学部での勉強はおもしろく、基礎医学から臨床医学と学べば学ぶほど、思い描くお産の形は鮮明になりました。小学校から数えると27年間の学校生活を経て、ようやく就職。5年間で5か所の病院に勤務させていただき、臨床の現場でお産に接し、自然なお産をとの思いはさらにつのりました。

5年目に勤務を辞め、自宅出産の出張介助で開業しました。そのかたわら入院施設建築の準備をし、2年後、小さな診療所を開きました。そして、助産師たちとともに夢中でお産に向き合い、8回目の新年を迎えたところです。

私の仕事の原点は、私自身のお産です。産科医としては、まだまだ駆け出しなのに、あの日から、もう20年が過ぎてしまいました。長い年月でしたが、あっという間の時間でもありました。仕事は嬉しいこと以上につらいことも多いのですが、今、私自身が願っていたお産をお世話できている実感に支えられています。
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