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命を奏でる映画「地球交響曲第五番」
−「地球交響曲第五番」が完成して、明日香医院が主催の上映会が行なわれたそうですが、そこでの反響はいかがでしたか?

大野: 上映会には私たちのところでお産をされたお母さんたちがたくさん来てくださいました。
この映画を観て、皆さん、それぞれに感じるところがあったようです。お産のシーンに涙する人、それから、自分がお産したときのことを追体験して、あらためて感動したという方もいました。

龍村監督の事務所にも映画を観た女性からたくさんのお手紙が届いているそうで、「映画を観て子どもを産みたいと思った」という感想もあったとうかがっています。
自然なお産と新しい命の感動は、多くの人に無条件に伝わるのだろうと思い、とても嬉しいです。

宮崎: そうですね。
私は「地球交響曲第五番」のなかにお産の場面が入るということをうかがって、何か私の原点というか、私が写真をとおして表現したいと思い続けてきたことと、龍村監督の思いの間に共振するものを感じたんです。

私は映画の撮影をするのは初めてでした。だから、正直なところ、仕事としてお受けすることに、ためらいはあったんです。でも、映画をとおしてもっと多くの人たちにお産の場にある人間の真理というか、本来の姿というか、女性がもっている身体のリズムや自然の力を知ってもらえるのではないかと思ったんですね。

上映会は、まさにそういうかけがえのないものをみんなが共有できる場になったのではないかと感じました。


−宮崎さんは映画初挑戦ということだったわけですが、どうして監督は宮崎さんをカメラマンにしようと考えられたのですか?

龍村: 映画を撮るうえでの私の基本的なスタンスは、たとえばお産を撮るにしても、それをいかにきれいに撮るかということは必ずしも最優先すべき問題ではないということなんです。ですから、撮影をするためにあえて条件を整えるようなことはしません。それは、私自身が「一番大切なものは何か」ということを失わないようにしたいからなんです。

というのは、私が「地球交響曲」という映画で何をやろうとしているかというと、見えるもの、聞こえているものをとおして、本当の意味で見えていないもの、聞こえていないものを描き出すということなんです。大切なのは目に見えるものではなくて、目に見えるものの後ろにある、もっと深いものです。

お産を考えたときに、健やかに命が生まれてくることや、それをしっかりと支え、サポートしながら迎えられる助産婦さんや先生がいること、そして温かい雰囲気に包まれていることといった「場」の問題が何より大切になってきますね。そういう場を乱すものがお産の進行や、子どもの健やかな誕生を妨げてしまう可能性は大いにあるのだと思います。

大野先生はそういうものを場から排除する姿勢を基本とされていましたし、私にもそれがちゃんと伝わってきました。
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