明日香医院
大野明子の著作など 論文 > いのちを選ばないことを選ぶ
いのちを選ばないことを選ぶ
出生前診断のこと
生殖補助医療
いのちのつながり
それぞれのいのち
おわりに
引用文献
最初のご夫婦は中絶を選択なさいました。私の施設では中絶手術を行いませんので、私は、お腹の赤ちゃんにお別れを言い、他施設に紹介しました。

次のご夫婦は、自然経過で出産することを選ばれました。まず、お母さんが迷うことなく決断し、パートナーは彼女の決断を完全に支えてくださいました。けれども、妊娠10週そこそこでの診断後、生きられない赤ちゃんとのその後の妊娠期間を思い、ご夫婦の気持ちは大きく揺れました。
彼は「生まれたらすぐ別れなければならないことが悲しい」と号泣しました。彼女はたくさん泣いたのち、今では「妊娠期間、赤ちゃんのことを大切に思って過ごすことができるから、早い時期にわかってよかった、お腹のこの子が本当にかわいい」とおっしゃってくださいます。妊娠はまだ中期にさしかかったばかり、お腹の子どもは元気に動いています。

無脳症の赤ちゃんには、高度な思考はできないかもしれません。けれども、魂があるかと問われれば、私は、迷わず、イエスと答えます。私たちは、ご夫婦の妊娠と出産を全力で支える覚悟です。
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