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それぞれのいのち
生まれてくるということは、いずれ100%死ぬということです。ですから、いのちに対して、「死んではいけない」という価値観を持つことには、本質的に無理があります。
産む人も家族もそして医療者も、誰もが皆、無事に元気で健康な赤ちゃんが生まれてきてほしいと願います。けれども、現実には、妊娠初期の流産は20%程度の確率で起こり、お腹の中で亡くなる赤ちゃんや、分娩途中に亡くなる赤ちゃん、生後まもなく亡くなってしまう赤ちゃんがいます。先天的な理由がある場合もあれば、後天的な理由によることもあります。
理由はどうあれ、どうしても生きているのがしんどいと、あちらの世界に帰ってしまう赤ちゃんは、一定の割合でいます。どんなに産科学や新生児学が進歩しても、これをなくすことはできません。妊娠・出産といういのちの営みには、どんなに医療が進んでも、人の力ではかなわないことがあります。親にとっては、とてもつらくて、この上なく悲しいことですが、赤ちゃんは、それでやっと楽になれたのかもしれません。
こういう場面に何度も遭遇するうち、私は、たとえば流産した赤ちゃんが99歳まで生きた人よりも価値がないということはないし、ハンディキャップを持つ子どもが、健常な子どもと比べて価値がないということはないし、1歳までしか生きられなかったいのちが10歳まで生きられたいのちより価値がないことはないと考えるようになっています。すべてのいのちに意味があり、他と比べることのできない価値があります。
無脳症は、満期で生まれてきても、数日しか生きることのできない病気です。ごく最近のできごとですが、偶然、ひと月以内に、妊娠初期で無脳症を診断した赤ちゃんがふたりいました。
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