お産の家　明日香医院－大野明子の著作など

残念ながら、今は違います。身体の使い方、動かし方も違えば、生活の環境やリズムも違います。生活における人と人との距離や、行動半径もまったく違います。感染症の発生の仕方や広がり方が異なるのは当然でしょう。エイズの世界的流行や、西ナイルウィルスがたちまち日本に入ってきてしまうことからもわかるでしょう。

自分の子どもは健康だから、この子だけはかからないというのも幻想なら、重症化しないだろうとか、後遺症を残さないだろうというのも幻想です。さらに、自分の子どもは軽症で済んでも、自分の子どもが他の子どもに病気をうつし、その結果、相手の子どもが重症化したり、後遺症を残す可能性もあります。妊婦やお年寄りにうつし、取り返しのつかない結果を招く可能性もあります。また、病気になったら医療があるといえども、医療資源も有限です。社会の中で生きている以上、個人的利益だけで考えるのではなく、公衆衛生的な視点も必要でしょう。

まず、なにより、身近に、十分に相談できる小児科医がいてくださるといいですね。そして、疑問がある場合には、納得できるまで、説明を聞けることがいいでしょう。けれど、実際は、なかなかそうはいかないかもしれません。

そこで、産科医のくせに、大変僭越ですが、今回から数回をかけて「予防接種の話」の連載を試みることにしました。毎号は書けないかもしれませんが、2年がかりくらいで、各論を終えられればいいなと思っています。次回は、予防接種の代表選手、これだけはなにがなんでも受けておいてほしい、麻疹の話をする予定です。

3 / 3 　第2回麻疹（はしか）

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