明日香医院
大野明子の著作など 著書 > 子どもを選ばないことを選ぶ
はじめに

春乃ちゃんと著者(第1章扉より)
本来、真実はそれぞれの人の中にあり、世界はそれぞれの人の中に広がっています。とすれば、そもそも、産む人たちの耳に入ってくるさまざまな情報は、それぞれの人にとって事実を知り、真実に近づける性質のものなのでしょうか。偏りはないのでしょうか。いたずらにあせりや不安、恐怖をあおる要素はないのでしょうか。

知っておくことを避けられなくなってしまった現在、技術本位でない情報が必要だと思います。ことがらの本質を伝える情報や、出生前診断のその先、つまり産まないことを選ぶことの意味を伝える情報、さらに出産や子育てのための生きた情報が必要でしょう。

もちろん、どんな情報も偏りを持っています。けれど、せめて、産科医である私の目から見て、偏りのない情報、出生前診断を是としない情報、これから子どもを産もうとしている人たちの幸福を、いたずらに脅すことのない情報を提供したいと思いました。そして、子どもを産むことにぜひ、前向きになっていただきたいと願いました。

また、この本は、障害を持つ可能性のある赤ちゃんが生まれたばかりのお母さんの手に届けたいと、強く願っています。予想していなかった可能性をいきなり告げられて、今後の子育てや生活に限りない不安を抱えているかたたちに「大丈夫ですよ」と教えてさしあげたいと思いました。状況は個別ですから具体的には説明できなくても、たくさんの先輩たちがすくすくと育ち、家族とともに幸福に暮らしていることを知ってほしいと願うからです。そして、読み終えたのち笑顔が戻ることを、こころから願っています。
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