明日香医院
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【講演集録】 『当院における母乳率100%の実際』
大本純子(助産師)、戸井口晃子(助産師)、大野明子
1 はじめに
2-1 当院における母乳哺育支援の方法
2-2 母乳哺育に関するデータの集計方法
3-2の結果
4 考察
5 まとめ
1 はじめに
当院は,医師1名,助産婦3名で運営する小規模の産科医療施設である。平成9年自宅分娩の介助のみで開業,同11年5月より入院施設を開設した。徹底した自然分娩と母乳育児を理念とし,自院内に分娩台および手術室を持たない。自然なお産とおっぱい子育てを望む妊婦さんたちが,当院の理念を理解し,来院してくださっている。

平成12年9月末現在,200余例の分娩事例があった。可能な限り医療介入しない自然な分娩ののち,直後からの頻回授乳,母子の完全同室同床,継続的なケア等により,母乳哺育を支援している。ケアは「必要なとき,必要な人に,必要なだけ」を原則とし,きめ細やかに行う。その結果母乳率はきわめて高く,1ヶ月健診時における完全母乳率は100%であった。そこで,当院における母乳哺育支援の方法および母乳哺育確立までの各種データを若干の考察とともに報告したい。

2-1 当院における母乳哺育支援の方法
妊娠後期以降,妊婦自身がオイルを使った乳頭乳輪マッサージを励行する。分娩は自由な体位で行ない,正常に出生した児は,分娩直後母に抱き取られる。その後,母児は完全に同室同床である。原則3日間の産褥入院は,母児の授乳行動の今後を決定する重要な練習の時間と位置づけている。つまり「お母さんが退院後自分で赤ちゃんのお世話ができること」を目標に,自立を支援する。その実際は,必要に応じスタッフが訪室し,授乳の介助,乳房マッサージ,搾乳など多様なケアを行う。必要に応じ,糖水や搾乳した母乳(以後搾母と略す)を補充する。この際,乳頭混乱を招かないようスプーンを使用し,哺乳瓶は使用しない。産褥3日目にはほぼ全員が直接母乳(以後直母と略す)の方法を会得する。退院後1ヶ月健診までの間も,必要に応じ,ケアを行う。
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