明日香医院
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【講演集録】 『当院における母乳率100%の実際』
大本純子(助産師)、戸井口晃子(助産師)、大野明子
1 はじめに
2-1 当院における母乳哺育支援の方法
2-2 母乳哺育に関するデータの集計方法
3-2の結果
4 考察
5 まとめ
4 考察
1 年齢
当院の産婦は相対的に年齢が高いが,年齢は母乳率にとって決定的な要素ではなかった。

2 前回の栄養方法
前回母乳率72%は相対的に高いが,これは当院への来院動機より理解される。前回混合または人工栄養のケースは,その原因の多くが初期の母子分離とケアの不足によるもので,適切なケアにより母乳哺育は可能となる。

3 授乳困難をきたす乳房,乳頭の形と対策
乳腺体の少ないI型の乳房や扁平,陥没あるいは短い乳頭の場合,授乳困難をきたしやすい。こういった乳頭は,硬くて伸展性が悪く,児が上手に舌を巻き込めないことも多い。このとき児の口にスプーンを当てて舌を出すことを促したり,介助者の指を吸わせたりして,吸着の練習を行う。また乳頭および乳輪の伸展を促すべくマッサージをする。その後,再度直母を試みることを,辛抱強く繰り返す。
また,こういった乳房,乳頭は,歪み飲みの結果,傷や痛みが生じやすいので,乳頭の含ませ方や授乳姿勢を工夫する。乳房緊満時はマッサージ,搾乳,生キャベツや里芋粉による湿布などが有効である。このような一連のケアにより,条件の悪い乳房も母乳哺育が可能となる。

4 初回授乳
WHO/UNICEFの10ヶ条1) によれば,初回授乳は分娩後30分以内とされる。ところが,出生直後には吸てつしない児をしばしば経験する。また,時間を限った意識的な授乳介助は,お産後のおだやかな気分を壊しかねない。私たちは時間にこだわらず,母児のタイミングをはかり初回の授乳介助をする。これはほとんどのケースで1時間以内に行われる。
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