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【講演集録】 『当院における母乳率100%の実際』
大本純子(助産師)、戸井口晃子(助産師)、大野明子
1 はじめに
2-1 当院における母乳哺育支援の方法
2-2 母乳哺育に関するデータの集計方法
3-2の結果
4 考察
5 まとめ
5 補充
補充は授乳回数の減少を引き起こし,母乳育児を疎外するとされ,1) によれば禁止項目である。しかし当院では,私たちの考えるところの必要に応じ,糖水中心の補充を行う。低出生体重児における低血糖予防,脱水による尿量の減少や便排出停滞による黄疸の増強予防など,その理由は多数ある。啼泣の激しい児には,補充により母親の休息をはかる。母乳分泌が良好にも関わらず,児の吸てつ意欲が低い,吸い付き方が下手、あるいは母の授乳が下手などの理由で体重増加不良の児には,搾母を与える。光線療法時など母乳や糖水に加え、最低量の人工乳を与えたケースは9%ある。
 このように必要に応じて補充し,必要がなくなれば速やかに中止する。大幅な体重減少や高度の高ビリルビン血症が避けられることなど、補充の利点は大きく、母乳率の低下はない。

6 母乳不足と体重増加不良
生後2週間を過ぎても出生時体重に戻らない場合は母乳不足(ILCA2) ),1ヶ月時の体重増加が500g以下の場合は体重増加不良(WHO3) )とされる。しかし,実際は考察5に述べるように母乳不足だけが体重増加不良の原因でない。このようなケースでは,搾母補充を継続しつつ,母親の心身の援助につとめている。
ところで,舌小帯短縮症を体重増加不良の原因とし,切開術をすすめる一部の専門家もいる。しかし、高度な舌小帯短縮症の児3名さえ,母乳哺育に何ら問題を生じていないことを付け加える。
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