1か月時の完全母乳率は100%です。3か月時は全員が当院にいらっしゃっているわけではなく厳密には把握していませんが、1名をのぞきそのまま完全母乳となっていると思われます。

以上が、私たちのところのお産の大まかな成績です。帝王切開、鉗子や吸引などの急速墜娩、会陰切開、早産が少ないこと、母乳率の高さに気づいていただけると思います。私たちのめざしている安産とおっぱい子育ては、おおむね達成されていると思います。他に特徴としては、年齢の高い妊婦さん、および初産婦さんが多いことがあげられます。平均年齢は33から34歳で、35歳以上の初産婦さんも全体の20%程度を占めます。40歳以上の初産婦さんも5人ありました。初産婦さんは全体の3分の2です。

産科医にとって、帝王切開の手術は、伝家の宝刀ともいうべき手段です。生まれてほしいけれど、自然のプロセスでは生まれない赤ん坊を、自らの力で確実に取り出すことができるからです。伝家の宝刀は、真に必要なときのみふるってこそ価値のあるものでしょう。徹底的に自然分娩を目指せば帝王切開率は1%以下に減らせると考えて、私はこの宝刀を捨てることを選びました。ちなみに当院における帝王切開率の上限をポアソン分布にのっとって推算してみますと、現状の観測値0の場合、90%の信頼性で1.2%、95%の信頼性だと1.6%になります。