明日香医院
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産婦診察
はじめに
当院の特徴
入院時診察の実際
その後の診察の実際
おわりに
6. 入院時の診察項目
当院の標準的診察手順は以下の通りである。まず、トイレで産婦自身が尿蛋白および糖を検査する。このとき破水感がなくても、念のため助産師がパッドを確認し、出血、破水、羊水混濁の有無を調べる。その後、入院室に移動し、体重測定後、分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングを施行する。モニター装着の際、胎児の胎位・胎向、下降度、羊水量、むくみなどを触診する。血圧測定、触診時に熱感があれば検温、破水があれば腟分泌物培養検査と血液一般検査および分画検査、CRP定量測定を行う。また、妊娠中の腟分泌培養検査でGBS感染があれば、ABPC1gを点滴投与する。

モニタリングは基線細変動および一過性頻脈が十分に確認できるまで行うが、この間担当助産師は付きっ切りで子宮収縮の強さを触診で観察する。

また、触診あるいはモニタリング上、胎位・胎向、羊水量その他の超音波検査が必要なときは医師がエコー検査を行う。

7. ルーチンの内診は行わない
一般的には、この後内診を行い、子宮口の開大所見および破水の有無を確認し、分娩予測を立てる。しかし、当院では、入院時のルーチンの内診は行っていない。

ルーチンの内診を行わない理由は複数ある。もっとも大きな理由は、正常な分娩経過が推察できる産婦に対し、内診が必須な理由は見当たらないためである。さらに、産婦にとっての内診はできれば最小限回数にとどめたいものであること、不要で不注意な内診が子宮内感染症を引き起こすリスクに鑑み、分娩経過をみていくうえで内診所見が必要である場合のみ、内診を行う。
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