明日香医院
大野明子の著作など 論文 > 産婦診察
産婦診察
はじめに
当院の特徴
入院時診察の実際
その後の診察の実際
おわりに
その後の診察の実際

当院では分娩が進行しているとき、助産師が1対1で付き添う。入院時の診察所見をもとに注意深く付き添えば、正常経過から逸脱したときが次の診察のタイミングとなる。

尿、血圧、感染徴候などに異常所見が出現する可能性があれば、分娩まで必要な頻度で、再検査を繰り返す。入院時正常値であれば、血圧は分娩の進行速度が変化したときや産婦の訴えがあったときのほかルーチンで2回/日、尿は1回/日としている。破水および羊水混濁は明らかにわかるし、発熱は触診や産婦の訴えで気づくことができる。

胎児心拍数モニタリングは、ローリスクの産婦が分娩第1期の経過を正常に進行していると推察できるとき、分娩が進んだと思われるタイミングを見計らい、実際には3〜4時間に1回程度、基線細変動と一過性頻脈の確認目的で必要時間行う。そのほかは数回の陣痛ごとに変動一過性徐脈や遅発一過性徐脈がないことを間歇的に聴取し確認する。途中non-reassuring patternを示せば、連続モニタリングを行い、状況によってはエコー検査も併用する。反対に陣痛が弱く分娩進行が緩徐なとき、胎児状態の悪化を懸念する要素がなければ、睡眠や散歩などのため、一定時間胎児心音の聴取を行わないこともある。

分娩進行中もルーチンとしての内診は行わない。理由は入院時と同じである。内診を行わなくとも、分娩進行を見守るのに困ることはない。児の下降は、外診、とくに心音聴取部位の変化から把握でき、全開大になったことは、怒責の入り方などからわかる。経産婦はほとんど、初産婦も大半は一度も内診をすることなく分娩に至る。

内診の精神的適応としては、産婦からどの程度進行しているか知りたいとの訴えがある場合や、進行が緩徐で休息を取ることを勧める場合などがある。産科的適応としては、胎児心拍数モニタリングでnon-reassuring patternを示すとき、分娩が著しく遷延し回旋異常が疑われたり、陣痛促進を考慮するときなど、やはり正常所見からの逸脱があり、分娩進行に関し現時点での正確な評価が必要なときである。
8 / 9

copyright © 2003-2011 birth house ASUKA, All Rights Reserved.