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はじめに
当院の特徴
入院時診察の実際
その後の診察の実際
おわりに
3. 診療録の見直し
産婦が入院することになったら、入院を待つ間に診療録を見直し、妊娠経過や各種検査結果、IUGRの有無、妊娠高血圧症候群の徴候の有無、経産婦の場合は前回の分娩経過、大量出血の有無などをおさらいする。これと電話で得た情報を頭の中で統合し、来院後の診察やケア、分娩進行をシミュレーションし、お産に向けて気持ちを集中する。
4. 入院の出迎え
当院では診療所玄関で担当助産師が産婦を迎える。出迎えで一番大切なことは、温かい笑顔といたわりの言葉である。それは、産婦の道中の不安を一掃し、お産の進行を健やかにする。
もちろん、経験のある医療者であれば、入院時に産婦を一瞥するだけで、あるいは二言三言言葉を交わすだけで、分娩の予想が立つこともあろう。産婦の表情や全身の様子は、それほど雄弁に分娩進行を語ってくれる。
分娩進行に余裕があって、明らかなリスクが見当たらないとき、この後、手順を踏んで入院の診察を行う。逆に時間的余裕がないと判断したときは、優先順位の高いものから選別して行う。この際、まず人手を呼ぶことも大切である。
なお、当院では予定時刻に到着しない場合、こちらから電話を入れる。また、急速な分娩進行などを予測するとき、扉を開けて院外で待つ。これは現実的なリスク軽減のほか、出迎えを受けることによる産婦の安堵感が大切だと考えるからである。
5. 入院時の問診
産婦を迎え入れた後、問診を兼ねた会話を行いながら、手順よく診察をすすめる。子宮収縮の間隔と強さを観察し、同時に産婦とパートナーなど同行家族の様子も観察する。
問診の項目は、電話で聞き取るものとほぼ同様であるが、会話を通じて産婦や家族の緊張や不安を解き、お産に前向きになれるような雰囲気づくりを心がける。緊張感や不安感が強ければ「とくにご心配なことがありますか」と尋ねてみるのもよい。精神的・家族的状況の観察は、産科学的診察と同等に、分娩進行の予測のために必須である。
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