はじめに
明日香医院のお産のデータ
考察
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4. 「なかなかすすまない」分娩の実例
1) 事例1
34歳、初産。妊娠38週1日に自然陣痛発来する。分娩はゆっくり進行し、第1期72時間、第2期4時間59分、合計77時間を要したが、産科的介入なく自然経過で、体重3,260g、頭位35cmの男児が生まれた。この間、陣痛発来後17時間で高位破水、娩出8時間前に完全破水している。児のアプガースコア10点(1分)、出血量は200mL、会陰裂傷1度と分娩が遷延したことによる母児の問題はなかった。「なかなかすすまな」かった主な原因は、斜軸侵入にあると考えられた。産婦は勤務助産師であり、「私が知っているお産のうちで一番長時間です。自然に産めたなんて信じられません。助産師としてお産観が変わりました」との発言であった。
2) 事例2
31歳、初産。妊娠39週5日高位破水、翌日自然陣痛発来し、18時間後に子宮口全開大となった。ところがこの後分娩進行は遷延し、全開大後7時間で完全破水するも、なおすすまなかった。そこで全開大11時間後にあたる妊娠40週0日朝よりオキシトシンにより促進開始した。しかしながらオキシトシンに対する子宮の反応は芳しくなく、促進開始後13時間を経てもなお娩出に至らず、その夜は休止した。さらに翌朝より再度オキシトシンによる促進を試み、約7時間半後、ようやく娩出に至った。全開大後41時間、休憩時間を除くと全開大後32時間、分娩所要時間50時間であり、実に全開大後2晩がかりのお産となった。児は、出生体重2,964g、頭囲34cm、アプガースコア10点(1分)の男児。会陰裂傷は1度であったが、外陰部のむくみは高度であった。
1ヶ月健診時、産婦をねぎらうと、感謝の言葉とともに「長い陣痛の間、いつ、『帝切しましょう』と言われるかと思っていました。そして明日香医院にはあきらめるという単語がないのかと思いました」と涙ぐまれた。 |
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