考察 当院における「なかなかすすまない」分娩例からわかることは、「なかなかすすま」ず、どうしようかと思案にくれ、促進剤使用を考慮するお産は、初産の10〜20%存在する。しかし経産婦になると極めてまれである。 「なかなかすすまない」お産の直接的原因は、回旋異常が多い。こういうとき、陣痛促進剤の助けを借りることはあっても、また、非常に長時間を要すことがあっても、最終的にほとんどは必ず生まれる。したがって「なかなかすすまない」ことを理由にした帝王切開はほとんど必要ない。また、一度経膣分娩を経験後は、「なかなかすすまない」状況はほとんど発生しないことから、初産での帝王切開は極力回避すべきであることはさらに明らかである。 「なかなかすすまない」とき、いかに産む人を励ますかは、何とか生まれるために極めて重要な要素である。当院では、助産師が交替しつつも、必ず1対1でつき添っている。彼女たちが産む人に寄り添う言葉を紹介して稿を終えたい。 − 「無駄な痛みはないですよ、ゆっくりだけど確実にすすんでいますよ」 − 「赤ちゃん、がんばっていますよ」 − 「お母さんが産む気にならないと、赤ちゃん出てきませんよ。私が産むんだって、思ってくださいね」 − 「生まれないお産は、ありません。必ず生まれるから、一緒にがんばりましょうね」 参考文献 1) 大本純子、大野明子。乳頭マッサージ:自然な陣痛促進法。助産雑誌。58(2)、2004、167-72。
copyright © 2003-2011 birth house ASUKA, All Rights Reserved.