明日香医院
大野明子の著作など エッセイ > 子どもをかわいがるちからの源−お産−
子どもをかわいがるちからの源−お産−
お産からすべてが始まる
母性をはぐくむお産
お産と医療の関係
安産とおっぱい
小さなお産の家で
おわりに
安産とおっぱい

そう考えれば、具体的に目指すべきことはきわめて単純です。お産は安産で、そして生まれた子どもをおっぱいで育てることです。なぜなら、それが母と子にとってあるべき姿であり、そういう時間の連続が、母子の絆となるからです。
安産というのは、母子の心身が、ともに安全ですこやかなお産のことです。医療介入なくこれが達せられれば、なおよいです。すこやかなお産はすこやかなおっぱいに移行します。そういったお産と子育ては、一番単純で、当たり前です。あえてそうしたくない女の人も少ないでしょう。

けれど、現代のこの国で、こういったお産や子育てをする人は少数派です。たとえば、帝王切開率の平均値は20%におよび、30%を越える施設も少なからずあります。これに吸引分娩や鉗子分娩、陣痛促進剤の使用を加えると、半数程度に達するでしょう。会陰切開までをも医療介入に数えれば、ほとんどすべてが介入つきのお産です。早産も5%程度発生します。その後のおっぱいはと言えば、1か月健診時の完全母乳率の全国平均は50%をはるかに下回ります。当たり前で普通のことは、いまやこれほど困難です。
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