明日香医院
大野明子の著作など エッセイ > 子どもをかわいがるちからの源−お産−
子どもをかわいがるちからの源−お産−
お産からすべてが始まる
母性をはぐくむお産
お産と医療の関係
安産とおっぱい
小さなお産の家で
おわりに

お産と医療の関係

ところで、現代では、お産は医療の一角にほとんど取り込まれてしまったように見えます。妊娠および出産のプロセスにおいて、ときに産科学的異常が起こり、医療の手を借りなければならないことが少なくないことも事実です。まれに緊急の対応が必要となることもあります。

だからといって、妊娠や出産における主役は医療ではありません。これは、産む人も医療者も錯覚しやすいところなので、注意が必要です。

お産は、命そのものの営みです。お産は、医療である以前にまず生活であり、暮らしであり、文化です。お産は普通の人が考えているよりも、何倍も何十倍も、もしかしたらそれ以上に精神的なものでもあると私は考えます。お産にとって必要な学問は、産科学のみならず、生きとし生けるものへの哲学的思考や宗教的思想です。

どんなに医療が発達したところで、自然の中には異常はあります。一定割合の異常を含んでいるのが自然なのです。100%の安全など原理的にありえません。ところが、産む人や医療者の中に、これを忘れているかのような安全至上主義、医療至上主義があるようです。これが間違いのもとになっていると私は考えます。

4 / 10

copyright © 2003-2011 birth house ASUKA, All Rights Reserved.