明日香医院
大野明子の著作など エッセイ > 子どもをかわいがるちからの源−お産−
子どもをかわいがるちからの源−お産−
お産からすべてが始まる
母性をはぐくむお産
お産と医療の関係
安産とおっぱい
小さなお産の家で
おわりに

母性をはぐくむお産

生まれてくる赤ん坊は、どの子もまるごとのまったき命です。まっすぐで、きれいで、かわいらしくて、愛すほかない“いきもの”です。

反面、新聞から伝えられる昨今のニュースは悲惨です。子どもたちが仲間や大人のいのちを奪います。そればかりか、親の命を奪う子どもや、子どもの命を奪う親がいます。この子どもたちは、どんなお産で生まれたのでしょう。この親たちは、どんなふうにその子を産み、育てたのでしょう。何が悲劇の“おおもと”になったのでしょう。すべてをお産や子育てに帰するのは間違いと知りつつも、やはりそう考えずにはいられません。


子育てはお産から始まります。出産とその前後の状況は、母と子の関係、さらに父と子の関係、ひいては、子どもをめぐる両親の関係に影響します。母子間の愛着が両者の密接な接触から生まれることは、すでにさまざま報告されています。例えば「子ども虐待」に関する全国調査によれば、非虐待児の約半数は極低出生体重児と分かりました。NICU*入院による長期間の母子分離や、母親の子どもに対する無力感が、母子関係の正常な発達を阻害したのでしょうか。

*新生児集中治療室(neonatal intensive care unit)
2 / 10

copyright © 2003-2011 birth house ASUKA, All Rights Reserved.