明日香医院
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出生前診断の問題点
化学者から産婦人科医へ
出生前診断をすすめない理由
ダウン症のあかちゃんとの出会い
出生前診断が役に立つとき
質疑応答
大野: 出生前診断の方法には、羊水検査のほかに血清マーカー試験、すなわちトリプルマーカーテスト、クワトロテストなどと呼ばれる方法があります。お母さんの血液を1ccくらい採り、トリプルマーカーなら3つの成分を多変量解析して、「あなたのあかちゃんがダウン症である確率は1/200です」などと、確率を計算するのです。膨大な年齢別データから数字を当てはめて、35歳の確率である1/300以下だと陰性、それ以上だと「ダウン症の危険がある」といって羊水検査に進むという検査法が、約10年前からあります。

羊水検査はおなかに針を刺して羊水を10ccくらい採ります。羊水中の胎児細胞を培養して染色体数を調べ、21番目が3本あるとか、18番目が3本あるとか調べるのです。採取時にお母さんの血が混じってしまうとか、羊水がうまく培養できなかったとか、モザイクといって、すべての細胞がトリソミーではなく、正常染色体数の細胞と混ざっているなどの理由で、まれに結果が間違っていることもありますが、ほぼ正しい結果がでます。

もしあなたなら、トリプルマーカーを受けて、「あなたは1/200です」と言われた場合、羊水検査を受けるでしょうか?すべての人にマーカー検査をすると7%の人が1/300以上の結果になります。1000人いたら70人が引っかかるけれど、このうちダウン症のあかちゃんは1人です。70人のうち69人は違っているのに、「ダウン症の可能性が高い」と、羊水検査を受けることになるわけです。

北沢: はっきりしない中で中絶を選んだら、後々まで悔いが残るだろうし、せっかく産もうと決心しているのに、まわりがああだこうだというと、本人の気持ちも揺らぐでしょう?
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