明日香医院
大野明子の著作など 講演 > 出生前診断の問題点
出生前診断の問題点
化学者から産婦人科医へ
出生前診断をすすめない理由
ダウン症のあかちゃんとの出会い
出生前診断が役に立つとき
質疑応答
大野: 生まれたらかわいいに決まっているのに、悩まなくていいことを悩まなくてはいけないのは不条理だと思います。にもかかわらず、全員に検査をする施設もあるようです。血清マーカー試験は検査会社が2社あって、SRL社の検査価格は9,000円ぐらいだと思います。ジェンザイム社はアメリカに本社があり、アメリカに検体を送って検査を行ないます。こちらは15,000円です。また、日本人のデータがアメリカに流出しているということも問題だと思います。

私の診療所でも血清マーカー試験を希望する人はいます。「子どもを選ぶのであれば、選ばれる子どもへの礼儀として、せめて勉強してください」と、複数の本を読むことをすすめます。本を読んでくださる方は、もう検査はしませんとおっしゃることが多いです。

北沢: 若いお母さんは「アメリカではこうです」といわれると、ふらふらっとなる。

大野: そうかもしれません。血清マーカー試験をすすめている産科医が、マタニティ雑誌に書いた記事を読んだら、検査の利点として「胎内で治療できる可能性がある」とありました。これは詭弁です。染色体の数の異常を治療することはできないし、血清マーカー試験で見つかるのは21トリソミーと18トリソミーと二分脊椎なのです。もちろん、妊娠中にわかって胎内で治療できる病気はありますが、多くはありません。

北沢: それらの検査を「結構です」といえる情報を広めたいですね。

大野: 「21トリソミーの子が生まれてはいけない」という価値観が私からなくなったので、私からは検査のことをお知らせしません。相手から質問があれば答えますが、「勉強してから質問してください」と、まず勉強の材料を渡します。
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