明日香医院
大野明子の著作など 講演 > 『子どもを選ばないことを選ぶ』明日香医院大野明子さんを囲んで
診療所はどう運営し、どう生き抜くか
【報告】 星佳代(言語聴覚士,長男は1才6ヵ月)
命が生まれるということ
出生前診断ってなに?
妊娠中の超音波検査も出生前診断!
子どもを選ばないことを選ぶ
自然なお産を考える
質疑応答から
参加者の声から
参加者の声から

光成沢美さん
私が大野先生の活動を知ったのは、約5年前、先生が『分娩台よ、さようなら』を出版なさったときでした。この本を読んで、現代日本では「あたりまえに産んで、あたりまえに育てる」ということ自体が、ある意味で特別なことになっているんだということを知りました。

先生はこの本の中で、異常、奇形、障害、どの言葉にも抵抗があると書いた上で、次のように書かれています。

「異常があってはならないというのは、自然の摂理を無視しているともいえます」と。

私の夫は障害をもっています。私達が結婚するとき、周りの人から「もし障害が遺伝したら・・」ということを言われました。それに対して夫は、「先天的な障害をもって生まれてくる子が一定程度存在するということは、人間が進化をしてきた証なのです」と、言っていました。ですから、産科医の大野先生が夫と同じようなことを考えていらっしゃることを知り、いつかお話を聞いてみたいと思っていました。

大野先生は、大多数の論理に揺さぶられたり、自問自答なさっているお姿をも隠さず語られました。そのお姿に私はリアリティを感じ、ある意味でホッといたしました。それは、私自身が、障害をもつ夫との暮らしの中で、「きれいごと」だけでは済まない現実を感じる瞬間があるからです。

しかしその一方で、「障害をもっていても無事生まれる子は、あきらかに生きていく力がある子どもなのです。それなのに、大人、いや社会の都合だけで、その子の命を断っていいのでしょうか」というメッセージを、確かな言葉で語ってくださいました。

さらに、「赤ちゃんの魂」ということを、とても話しにくそうに語っていらしたのが印象的でした。言葉にするとどうも嘘っぽいけれど、赤ちゃんの声を毎日聞いていらっしゃる先生には、「赤ちゃん自身が、このお母さんを選んでいる」と感じられる場面が確かにおありなのだろう、とすんなり納得いたしました。

私自身も含め、効率を優先し、科学的なことだけを信じてしまいがちな現代人ですが、奇跡的な確率の中で親子や夫婦として巡り会ったんだと改めて思い、感謝の気持ちがわいてきました。これからも、先生のお考えが一人でも多くの人に伝わりますように願っています。
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