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> 分娩形式はどのように変化するか
はじめに
お産の姿勢
お産の環境
おわりに
3. 帝王切開は減らせる
当院ではこれまで、分娩台を使わず起きあがった姿勢で250例が産まれた。幸いにして分娩中の母体搬送や緊急帝王切開はない。もとより帝王切開率を論じるとき、母集団が問題になる。詳述は避けるが、当初の200例の分娩のうち、初産104例、うち高齢初産27例など、初産率、年齢ともに相対的に高く、あらかじめ低い帝王切開率が予想できるロウ・リスク集団ではない。また200分娩までの期間に初診時、産科学的理由により受け入れを断ったのは1例のみ、妊娠途中で産科学的理由により転院をすすめた例は3例で、このうち1例が予定帝王切開となった。また、新生児搬送は4例であった。この他、陣痛促進剤による誘発および促進はあわせて12%、吸引分娩および会陰切開は1例に施行した。
当院のデータは、起きあがって産むことが分娩経過に利することを示している。もっとも当院で帝王切開その他の医療介入を減らすことができた理由は、起きあがって産むことのみではない。とはいえ、仰臥位分娩という分娩管理法こそが、実は分娩の生理をさまたげ、結果として本来不必要な医療介入を招いている事実は明らかであろう。
仰臥位分娩をやめれば、自然なお産が増え、医療介入の必要性の頻度は減る。その結果、帝王切開や鉗子、吸引分娩に伴う産道損傷など、産婦の身体を傷つけることも減る。児のストレスも減る。つまり、より安全で快適な分娩が期待できる。産科学のめざすものが母児にとっての安全かつ快適な分娩であるならば、仰臥位分娩は過去のものとなるべきであろう。
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自然なお産とおっぱいをめざして
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