明日香医院
大野明子の著作など 論文 > 分娩形式はどのように変化するか
分娩形式はどのように変化するか

はじめに
お産の姿勢
お産の環境
おわりに

スクワットや立ち産は、もっとも重力に助けられ、いきみやすい姿勢である。しかし、長時間がんばるにはつらい。この姿勢でお産になったケースは、たいていこちらがその姿勢をすすめている。

初産の拝臨、発露前後で遷延したとき、あるいは急速遂娩をはかりたいとき、一般的には吸引・鉗子分娩、あるいはクリステレル圧出法をとる。重力に逆らった仰臥位産であれば、仕方のないことかもしれない。そんな時当院ではスクワットや立ち産を試みる。パートナーに産婦を後ろから抱えてもらい、産婦の身体ごと振ることもある。これは胎児を振り出す操作で、茶筒にはまって、つかえたボールを振って出すイメージから、私はこれを「茶筒の原理」と呼ぶ。吸引分娩や鉗子分娩に匹敵するほど強力で、ときにそれ以上に有効と思う。

四つん這いと立ち産を写真で示す。四つん這いのお産(図1)は12年ぶりに出産する40歳の経産婦で、支え役のパートナーにつかまっている。立ち産(図2)は42歳の初産婦で、全開大後も陣痛微弱で遷延し、やむなくアトニン点滴による陣痛促進に加え、立ち産で振り出しを試み奏功した。全開大後分娩まで約12時間を要した。
6 / 13

copyright © 2003-2011 birth house ASUKA, All Rights Reserved.