明日香医院
お産のとき
初めてのお産を迎える妊婦さんは、赤ちゃんがお腹にやって来てくれたことが本当に嬉しくて、お産がとても楽しみな反面、不安な気持ちもたくさんお持ちだと思います。

そんな皆さんに、まず、お伝えしておきたいことがあります。それは、こころと身体の調子を整えながら妊娠中を過ごすことをこころがければ、ほとんどの場合、経膣分娩で元気な赤ちゃんを産むことができるということです。ですから、準備は怠りなく、けれど、安心してお産にのぞんでください。

手術室も分娩台もない、小さなお産の家でこれまで1800人以上の赤ちゃんが生まれました。ほとんどのお産で手術室は必要なく、すべてのお産で分娩台は必要ありませんでした。そんなふうにお産に向き合う日々の中で、たくさんのことを学びました。

お腹の中にいるときも、生まれたあとも、赤ちゃんはお母さんが大好きです。だから大好きなお母さんの身体を傷つけて生まれて来ようとは思っていません。と同時に、赤ちゃんはお母さんに無事に産んでほしいと願っています。

そして、ヒトの身体にはとても大きな可能性があります。ほとんどの妊婦さんは自分の力で赤ちゃんを産むことができます。たとえば、どうしてもお産が進まないときの陣痛促進剤や、感染が心配なときの抗生剤など、ちょっとしたお手伝いが必要なことはありますし、 長い時間がかかるお産 もありますが、 会陰切開 や吸引・鉗子分娩、帝王切開が必要になることはめったにありません。

明日香医院では平成19年、20年と毎年160人以上の赤ちゃんが生まれました。この間帝王切開が必要なため転院や搬送が必要であったお産は、平成19年が4例、平成20年には2例、帝王切開率は1.8%でした。これらの例を含め、帝王切開の可能性が予想されたり、新生児科専門医のお産への立ち会いが必要と予想されたため、高次施設に転院あるいは搬送したケースは全体の4.1%程度でした。つまり、ほとんどの妊婦さんは経膣分娩が可能でした。

一方、現代の一般的な帝王切開率は10〜30%程度です。この違いはどのように理解したらよいのでしょうか。明日香医院では 骨盤位は直してしまっている ため骨盤位を理由とする帝王切開がないこと、および 帝王切開を選択する基準 が異なること、 起きあがって産む 姿勢のため お産の進行 が順調なことなど産科学的理由のほか、おそらく、ふたつの理由があると考えています。

まず、明日香医院の妊婦さんたちは、お散歩など身体作りに励み、食事に気をつけ、安産をこころがけた生活をしてくださっているということです。お産に対して前向きであること、自信を持って毎日を楽しく過ごすことは、とても大切です。また、パートナーがしっかり支えてくださると、本当にありがたいです。

もうひとつは、お産のとき、産む人のそばに寄りそう助産師の存在です。彼女たちは、いつ終わるともしれぬ陣痛のとき、ずっとそばにいて、お産が順調に進むようにアドバイスし、腰をさすり、なぐさめ、ときには励ましながら、一緒に赤ちゃんを待っていてくれるお産の専門家です。ときにはパートナーと一緒になって産む人を支え、またときには、心配になってしまったパートナーをも支えます。夜中中つききりで世話をしてくれる彼女たちがいるからこそ、産む人はつらいお産の山も越えることができます。またお産が異常域に近づいたとき、彼女たちは母子の手を強く引いて、正常域へと戻します。 

十分にこころと身体の準備を楽しんだ上で、お産のときは、安心して身体ごと陣痛の波にゆだねてしまいましょう。陣痛はたしかに子宮収縮の痛みを伴いますが、それは、身体を痛めつける痛みではありません。無駄な痛みはなく、少しずつ子宮口は開き、赤ちゃんはゆっくり降りてきます。また、陣痛と陣痛の間には、休みの時間があります。さらに陣痛には必ず終わりがやってきます。そして、とうとう、赤ちゃんに会えるのです。

生まれたての赤ちゃんは、本当にかわいいです。お母さんもお父さんも、一目でその虜になってしまいます。

そんなわけで、安心してお産にのぞんでください。
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