明日香医院
大野明子の著作など エッセイ > いのちを産む
いのちを産む
第1回 小さなお産の家
第2回 お産の姿勢
第3回 分娩台はいらない
第4回 起きあがって産む
第5回 200人の赤ちゃん
第6回 お腹を切らずに産む
第7回 帝王切開の理由
第8回 安産法
第9回 自然分娩へのプロセス
第10回 破水と誘発
第11回 陣痛誘発
第12回 サンタさんの贈りもの
第13回 妊婦と旅行
第14回 妊婦の御法度?
第15回 陣痛促進
第16回 お産とお風呂
第17回 産めるのかしら
第18回 不安の解消法
第19回 おっぱいの不思議
第20回 助産婦の仕事
第21回 産科医の仕事
第4回 起きあがって産む−−赤ちゃんも疲れにくい

起きあがって産むことが、本来のお産の姿勢であることがわかっていただけたところで、私たちのお産の実際をもう少しお話しましょう。

開業以来、生まれた赤ちゃんは200人を越えました。そこで、どんな分娩体位が多いのか調べました。一番多いのは四つん這いの52%、ついで側臥位19%、さらに立て膝、スクワット、立ち産と続きます。仰向けで背中を起こす姿勢、つまり分娩台のお産に似た体位であるセミファーラーは、たった2%でした。

私たちはお産のとき、産婦さんから「どんな姿勢がいいでしょう」と問われれば、「こんなふうにしたらどうでしょう」と、身体を起こす方向で提案はします。けれど経過が正常である限り、強制はしません。私たちの提案する姿勢がつらければ、産婦さんは姿勢を変えます。つまり、産婦さん自身が納得のできる姿勢でのお産になります。

したがって、私たちのところの分娩体位の統計が示すことは、産婦さんのしたいままにまかせたとき、仰向けで産む人はきわめてまれ、ということです。この統計は赤ちゃんが生まれるまさにそのときの姿勢についてですが、陣痛のさなかも、自ら仰向けになる人はほとんどいらっしゃいません。ましてや、みずから仰向けで大きく足を広げるということはありません。仰向けの姿勢、つまり分娩台でのお産が、産む人にとって快適なものでないことは明らかでしょう。
第3回 分娩台はいらない   1 / 3

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