明日香医院
大野明子の著作など 論文 > 自由な体位での分娩進行
自由な体位での分娩進行
はじめに
スムーズな分娩進行とは
「自由な分娩体位」と分娩進行
当院における分娩の実際
当院のデータにおける検討
おわりに
4. 急速遂娩

450例のうち、吸引による急速遂娩を行ったものは、初産4例、全体の0.89%、初産のうち1.5%である。その適応は、いずれも胎児心拍数モニタリング上の判断に基づく。

当院における帝王切開および急速遂娩率は、相対的に低く、分娩第1期所要時間も短い。もちろん、こういった数字は複合的総合的結果であって、その数字の理由を「自由な分娩体位」のみに帰することはできない。さらに、分娩体位の寄与の程度を見積もることも困難である。

しかしながら実感として、「自由な分娩体位」なくしては、現在のようなお産の進め方ができないことも、同様に明らかである。例えば、分娩第1期が遷延すると、院内外を歩き、入浴など試み、分娩室に産婦を拘束しない。臍帯圧迫と考えられる児心音低下時にまず行うことは、産婦の体位変換であるが、自由な分娩体位ではこれが容易である。

また、分娩第2期が遷延すると、分娩椅子やトイレなど、努責をかけやすい姿勢で努責し、しばしば分娩の進行をみる。排臨間際での遷延には、スクワットや立位など骨盤出口部が最も拡がる体位が、有効に児頭下降を助けることも経験する。こういった結果、当院では分娩遷延を理由とした吸引や帝切がない。

同様に、当院における急速遂娩の方法は、まず姿勢の工夫であって、吸引分娩はその次の手段である。また、やむをえず吸引を行うときの体位は立位である。
10 / 13

copyright © 2003-2011 birth house ASUKA, All Rights Reserved.