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> 診療所はどう運営し、どう生き抜くか
はじめに
私たちのめざすもの
お産の家
外来スペース
リビング・ルーム
入院ゾーン
手術室を持たない理由
経営について
おわりに
Z.経営について
本稿の題名の“運営”には、経営が含まれていると考える。経営について書くのは、私にはいささか不向きだけれど、私たちの小さなお産の家が、経営面でもなんとかなるかもしれないゆえんを書いてみたい。とはいえ、2代目でも何でもない私が、偶然巡り会えたこの美しい土地でささやかとはいえ仕事を始めることができたのは、たくさんのご縁と幸運に恵まれたお陰にほかならない。こころから願ったから、神様はその願いを聞き届けてくださったのかもしれないと、ただ、ただ感謝している。
そもそもお金をもうけるために始めたことではないので、赤字は困るけれど、逆に大きな黒字も必要ない。もちろん銀行から借りているお金は返さなければならないが、蓄財の必要もない。経営のために仕事をしているわけではなく、どうしてもお産の仕事がしたいからその算段をしているにすぎない。そう思ってしまえば、もともとの向こうみずと楽天性もあいまって、またいちいち心配するには借金の額が大きすぎることもあって、細かな計算はする気にならない。無駄遣いはせず、けれども必要なものにはきちんとお金を使い、一生懸命努力していれば、なんとかやってゆけそうと、信じている。
こんな程度の算段で、新聞の経済面もろくに読まない私が、なんとかやっているらしいのは、私たちの施設がきわめて小規模であり、限りなくSOHO的であるからにほかならない。
そもそもお産の家を始める以前、私たちは自宅出産専門で、施設そのものがなかった。小さなドップラーと、アネロイド血圧計に聴診器、それと分娩セットのみで、ひとりで始めた。エコーは当時アルバイトしていたクリニックで借りていた。そして最初の年は6人の赤ちゃんが生まれた。診察料や分娩費は経費に消え、私も、しばらくして巡り会えた相棒の助産婦も、生活費はアルバイトで稼いだ。
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