明日香医院
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診療所はどう運営し、どう生き抜くか
はじめに
私たちのめざすもの
お産の家
外来スペース

リビング・ルーム
入院ゾーン
手術室を持たない理由
経営について
おわりに
U.お産の家

それでは具体的に、“お産の家”の紹介をとおして、私たちの実際についてお話ししたい。“お産の家”は小さいけれど、私たちの頼もしいお城である。

“お産の家”は、産科医を志して以来、ずっと私の夢であった。お産のための家は、木立ちに囲まれて、地面にしっかり建った木の家でなければならないと思っていた。自然で健康な家でなければ、自然なお産はできない。

東京は生まれ育った土地ではないが、学生時代から長く住み慣れ、また勤務医としても働き、人のつながりもたくさんあった。産科医としての将来を考えたとき、東京で独立開業してやって行く以外の道は思い浮かばなかった。そこで3年前の春、勤務医を辞め自宅出産専門で開業すると同時に、お産にふさわしい場所を探し求めて都内を歩いた。都心以西を中心に全部で100カ所近く歩いた。そして夏が過ぎ、秋になってようやくこの土地に巡り会うことができた。

ここはのんびりした京王井の頭線の沿線にあり、広い栗林に面し、23区の中とは思えないほど、緑に恵まれた美しい土地である。初めてそこを見た瞬間、これからずっと探してもこれ以上のところはないと確信した。お産の場所は特別な場所であってほしいという願いどおりの、私にとってはまるで夢のようにすてきなところである。
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