明日香医院
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診療所はどう運営し、どう生き抜くか
はじめに
私たちのめざすもの
お産の家
外来スペース

リビング・ルーム
入院ゾーン
手術室を持たない理由
経営について
おわりに
T.私たちのめざすもの

題名の“運営”が、この小さな”お産の家”を舞台に医療者として私たちがどんなお産をめざすのか、そのためにどんなふうに日々の診療を行うかということであれば、それはとてもはっきりしている。どこまでもどこまでも、あたりまえの手つかずのお産、産む人と生まれてくるいのちのちからを信じるお産、人間らしい尊厳に満ちたお産、やさしくて暖かいお産、産む人と産まれてくる赤ちゃんをめいっぱい大切にするお産である。そのためにどんな妊婦健診をしてゆくか、またお産後のケア、おっぱいの手当てはどうあるべきかなど、自然にあるべき姿も決まってくる。

産む人が自分で産んだと思うことができるように、そして子どもが生まれたことがこころから嬉しいと思えるように、そして、赤ちゃんのことをこころからいとしく、かわいいと思えるように、そんなお世話をすることが私たちのいちばんの仕事である。もちろん、それ以前に現代産科医療が保証する安全を確保することはいうまでもない。

言葉にすれば簡単だが、お相手をする妊婦さんや赤ちゃん、そのご家族が、ひとり、ひとり違うため、私たちのケアも具体的にはひとり、ひとり違ってくる。ひとり、ひとりに手間暇と愛情、それとなけなしの知恵をたっぷりのかけることになるので、どうしても能率や効率とは無縁になる。たくさんの数をお世話することもかなわない。それは、私自身やスタッフの生活を相当程度犠牲にする上にようやく成り立つことでもある。大変だなあと思うこともないではないが、それ以上にそんな仕事ができることに感謝の気持ちでいっぱいになる。
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