明日香医院
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診療所はどう運営し、どう生き抜くか
はじめに
私たちのめざすもの
お産の家
外来スペース

リビング・ルーム
入院ゾーン
手術室を持たない理由
経営について
おわりに
次の年は、自宅のマンションの部屋を使って診療を始めた。お産の家の計画も進んだため、エコーとモニターをリースで導入した。お産も口コミで少しずつ増え、22人が生まれた。残念ながら私の生活費はなおアルバイトに頼っていた。

そして、昨年、ようやく、待望のお産の家ができた。スタッフは私と相棒の助産婦のふたり。ふたりとも外来診療やお産など医療職らしい仕事はもとより、雑用もすべてこなす。レセプトなどの事務仕事、掃除、食事の支度、おむつやシーツの洗濯やアイロンかけも私たちの仕事である。お産の家で生まれた赤ちゃんの着物はすべて相棒の手作り。買ったものにはない愛らしさにあふれている。最近はさすがにこなしきれなくなり、掃除や洗濯などを手伝ってくださる方をお願いするようになった。

これまでの7ヶ月の経験からすれば、経営的には月5件程度のお産があれば、私たちは食べていけそうである。その理由は、かくも小さな施設であり手術室も持たないため、設備投資が相対的に小さいこと、したがってかくも少人数のスタッフで切り盛りできるSOHO的なスタイルでやってゆけるからである。さらに私が女性であり、2階に住み込んで毎晩の電話番と当直をこなし、いざとなれば、スタッフの介助がなくてもひとりで診療もお産もこなしてしまうためである。
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