明日香医院
大野明子の著作など エッセイ > いのちを産む
いのちを産む
第1回 小さなお産の家
第2回 お産の姿勢
第3回 分娩台はいらない
第4回 起きあがって産む
第5回 200人の赤ちゃん
第6回 お腹を切らずに産む
第7回 帝王切開の理由
第8回 安産法
第9回 自然分娩へのプロセス
第10回 破水と誘発
第11回 陣痛誘発
第12回 サンタさんの贈りもの
第13回 妊婦と旅行
第14回 妊婦の御法度?
第15回 陣痛促進
第16回 お産とお風呂
第17回 産めるのかしら
第18回 不安の解消法
第19回 おっぱいの不思議
第20回 助産婦の仕事
第21回 産科医の仕事
第6回 お腹を切らずに産む−−帝王切開率1%へ挑戦

この3年間に200人の赤ちゃんが生まれました。お産はひとそれぞれ、赤ちゃんそれぞれで、200人の赤ちゃんたちは200とおりの生まれ方で生まれてきました。

200人のうち、自宅で 生まれた子は約40人です。残りの子どもたちはお産の家で生まれました。1年半足らずのうちに160人もの産声を聞くことができ、この家もさぞうれしいことでしょう。と同時に建築家、大工さんなど、造り手の思いのこもったこの家が、お産を守ってくれていると感じます。

ところで、私たちのお産の家に分娩台がないことはすでにお話ししました。それどころか、私たちのところには、手術台も手術室もありません。

こう書けば、読者の方はまっさきに、それでは帝王切開が必要なときはいったいどうするか、どうなるのか、とご心配くださるでしょう。

お産の最中に帝王切開が必要になったとき、あるいは高い確率で必要になりそうなときには、手術の設備と人手を十分に備えた大きな病院に産婦さんを救急車で搬送します。これを母体搬送といいます。そしてほんとうに幸いなことに、私たちのところでは、これまでそういう事態はおこっていません。つまり、緊急の母体搬送も帝王切開も必要がありませんでした。
第5回 200人の赤ちゃん   1 / 3

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