明日香医院
大野明子の著作など エッセイ > いのちを産む
いのちを産む
第1回 小さなお産の家
第2回 お産の姿勢
第3回 分娩台はいらない
第4回 起きあがって産む
第5回 200人の赤ちゃん
第6回 お腹を切らずに産む
第7回 帝王切開の理由
第8回 安産法
第9回 自然分娩へのプロセス
第10回 破水と誘発
第11回 陣痛誘発
第12回 サンタさんの贈りもの
第13回 妊婦と旅行
第14回 妊婦の御法度?
第15回 陣痛促進
第16回 お産とお風呂
第17回 産めるのかしら
第18回 不安の解消法
第19回 おっぱいの不思議
第20回 助産婦の仕事
第21回 産科医の仕事
第1回 小さなお産の家−−自然な出産を目指して

はじめまして。私は産婦人科医です。東京都心から少し西にはずれた杉並区高井戸で小さな産婦人科医院を営んでいます。ご縁があって、神戸新聞の読者のかたがたに、これから20回あまりにわたり、お産にまつわるあれこれをお話しさせていただくことになりました。

私たちの小さな医院は、本当に小さな木の家です。いわゆる病院というイメージからはおよそほど遠く、大きくて立派なコンクリート建ての産婦人科医院ともかけ離れた雰囲気です。
ちなみに病院と医院は、入院のベッド数の違いで定義されています。入院ベッドが20床以上あるところを病院といい、これに対して医院は19床以下です。また、医院のことは診療所とも呼びます。診療科目がたくさんあっても入院できない施設は診療所ですし、産婦人科だけ、あるいは内科だけなど単科でも、入院ベッドがたくさんあれば病院と呼びます。そういうわけで、私たちの小さな家は分類上は医院ですが、私たちにとっては、まさに「お産の家」なのです。

みなさんにとって東京の街のイメージはどんなでしょう。高層建築の立ち並ぶ都会でしょうか。あるいは、未来都市のような神戸のポートアイランドと、東京の新都心お台場のイメージは重なるでしょうか。

都心にはもちろんそういうところも、たくさんあります。けれど、幸いにもこの家のあるあたりは、東京には珍しいほどの緑に恵まれています。敷地の向かいは栗林で、その先は栗を作っておられる農家の屋敷森に続いています。私自身、都心のマンションからこの家に越して1年、自然とともにあって、季節の移り変わりを感じながら暮らしています。
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